君の好きなものを教えてと、言ったあの子の名前が思い出せない。
この名前を誇りに思っている。
私の大切な人が、私だけを思って、私だけのために、見えない未来の幸せを願って付けてくれた。
最近買い換えた化粧水、寝る前のトリートメント、大好きなコスメブランドに、行きつけの古着屋さんで買ったワンピース。
冷たい氷枕に、数時間だけ入れる冷房。
路線図に、奈々さん、端っこの席に、赤色。モノレールから見える高層ビルや、炭酸水。
吹き込んだ声に、違う誰かになって、欠かせないものは東京タワー。
自分を構成する、好きなもの。
体力が限界だったから、外回りの時にスリッポンを買った。飛べそうなくらい軽かった。
ついでに見つけた可愛い靴下、友人の好きなキャラクターもので、早く渡したくてたまらない。
月の時計を見つけた。あの頃手に入れたのは、星の時計だったから、燃やしてしまって、新しいもので染上げられれば良いなぁと思った。
毎日毎日毎日毎日毎日毎日。
摺り切れそうな神経、聞きたくもない言葉、見たくもないこと、山ほどあるけれど、まだまだ伝えられる好きなものへの情熱で、きっとこれからもこの先もその向こう側も、必死に生きていけるんだわ。
ただいま。