君の好きなものを教えてと、言ったあの子の名前が思い出せない。
この名前を誇りに思っている。
私の大切な人が、私だけを思って、私だけのために、見えない未来の幸せを願って付けてくれた。
最近買い換えた化粧水、寝る前のトリートメント、大好きなコスメブランドに、行きつけの古着屋さんで買ったワンピース。
冷たい氷枕に、数時間だけ入れる冷房。
路線図に、奈々さん、端っこの席に、赤色。モノレールから見える高層ビルや、炭酸水。
吹き込んだ声に、違う誰かになって、欠かせないものは東京タワー。
自分を構成する、好きなもの。
体力が限界だったから、外回りの時にスリッポンを買った。飛べそうなくらい軽かった。
ついでに見つけた可愛い靴下、友人の好きなキャラクターもので、早く渡したくてたまらない。
月の時計を見つけた。あの頃手に入れたのは、星の時計だったから、燃やしてしまって、新しいもので染上げられれば良いなぁと思った。
毎日毎日毎日毎日毎日毎日。
摺り切れそうな神経、聞きたくもない言葉、見たくもないこと、山ほどあるけれど、まだまだ伝えられる好きなものへの情熱で、きっとこれからもこの先もその向こう側も、必死に生きていけるんだわ。
ただいま。
日々勇気を燃やしていく私たちへ
毎朝5時半に起きて、早くて22時に退社する。遅い時は日付を越えて帰宅する。
毎日最低5キロ近く歩いて、出払っている時は夕方まで会社に戻らない時もある。
投げつけられる理不尽はなるべく流すようにしている。
でもたまにと思って受け止め、それに正直な言葉だけを使うようにして、反撃。
性格の悪い女だと、その時は思われても良い。
最近の、私の日常の一部。
もしかしたら隣に座るサラリーマンも同じような生活かもしれない、目の前に座る綺麗なお姉さんも。
勇気ってどこで必要なんだろう。
私の勇気は毎日消費されていく。昨日と違う髪型にするときも、洋服を選ぶときも、あの駅ではなくこの駅を選ぶことを。自由は、勇気を燃やして証明される。
自由の条件付けはどんどん自分を苦しめていく。
それもまぁ、嫌いではないなって思う。
ささやかな反抗。きっと自分以外知る由もない。
勇気を出す。拒むことも勇気だよ。
私は私を脅かすものは許さないと、決めているから。
燃やしてもなお、まだまだ炎は収まらなくて。